第3病棟でつかまえて

わたしがホールデンで、先生が捕手をするの。

チクリと言われたはずなのにすっぽり忘れていやがる

 

2022年 3月 4日(金) 入院五日目

 

昨日の中途覚醒しんどくてしんどくて。

再び寝入るのが難しかった。

で、午前は風呂まで寝てた。

やはり糖分摂らなきゃ目が覚めねぇべ。

 

風呂であの、因縁のJKの姿を見かけてダメになった。メンブレ。

約一年振りに彼女の姿を拝んだが、前回の入院によるトラウマをまだ引きずっているみたいだ。

黒木ちゃんに少し話したんだ。JKさんが苦手です、ってね。そしたら、その話が黒木ちゃんからそのてぃん(大学時代に"そのてぃん"と呼ばれていたクラスメイトがいたのだが、驚くほど顔も声も話すテンションの高さも似ている看護師がいる)経由で「JKさんじゃなくて三郎丸さんを視てあげて!」と言ってくれたらしい。春川先生に直々に。

「お節介焼いちゃった」と病室まで報告にきてくれたそのてぃんに、気持ちに寄り添ってもらえて嬉しいのと悲しみのフラッシュバックで泣いた。

中にもいたくないし、外にもいられないの。

どうしたらいいのか分からない。

 

周防看護師さんがわたしの髪を乾かしてくれた。

ずっとわたしの隣でドライヤー使ってるのを見張ってるもんだから、焦って生乾きで終わろうとしたんだよね。わたしの髪は結構水分をもともと含んでる方だから、乾かすのに苦労したろうな。周防看護師も、お子さんがわたしと同い年だって言ってた。わたしは、まるでおばあちゃんの家に泊まりに行った時に「棟子ちゃんの髪の毛乾かしてもいい?」と、おねだりされた時のような気分に浸っていた。

 

入院治療計画書みたいな書類をやっとこさ渡された。(前回もっと早くから書類くれたのに)

主治医とか薬剤師、相談員とか担当者の名前が書いてあるんだけど、わたしの担当看護師、吉津さんかよ……やだな〜〜!

 

主治医が診察のために病室に来てくれた。わたしはまだ診察室まで出してもらえないからね。

前回の入院の前からずっと、先生は「とある10代の女の子がね」「とある16歳の女の子が」と具体的な事例を挙げてお話しなさっていたこと、それが診察のたびに毎回行われていたこと、わたしを安心させるために話してくれたエピソードだと思うがわたしは傷ついていたこと、わたしが目の前にいるのにわたしを通してJKちゃんを視てる。わたしの診察の時間なのに、いつも春川先生の心はJKちゃんのところにあるんだ!と話すことができた。

そのてぃんが騒いでくれたおかげで、自ら話す勇気が湧いたんだ。倫先生も寄り添ってくれたし。

でも、この恨み妬み嫉み、なんて醜い心なんだと、自分でも思ってたからずっとずっと、一年ほどひた隠しにしていたんだ。それを全部吐き出しちゃった自分に嫌気がさして泣き出した。

終いには、先生に向かって癇癪を起こして「殺して!殺してよお!死にたい!」って騒いだけど、春川先生は特に歩み寄ってくれるわけでもなく「生かしたい」と言われただけ。ほざけ。

 

リスパダールを頓服にもろたけど液体じゃないんかい!

 

飲んだあと、あまりの眠気に耐えられずケータイが手渡されたことにも気が付かずで、ケータイ持ったまま30分うたた寝してた。

看護師が回収しに来てはじめて今が19:30、つまり携帯時間の終了だってことを知ったんだな。

誰にも何も、連絡できずでした。